院進-k(インシンク)|大学院進学について考えるためのポータルサイト

院進-k(インシンク)|大学院進学について考えるためのポータルサイト

就職か大学院か。進路に迷った時の選択の仕方|天野 優貴 氏(筑波大学博士前期課程1年 )【後編】

大学の卒業が近づくにつれ、進路の選択に迷う方も出てくるのではないでしょうか。中には研究を続けたいけれども、就職をしようか迷っている方もいるかと思います。今回インタビューをしたのは、現在博士前期課程1年の天野 優貴さんです。天野さんは一時は就職を考えていたこともありましたが、最終的に大学院へ進学しました。なぜ大学院へ進学したのか、現在進路について迷われている方には参考になる内容です。

天野優貴氏プロフィール:筑波大学人文・文化学群 人文学類を経て、現在同大学院人文社会科学研究科 国際日本研究専攻博士前期課程に在籍中。

前回のインタビューでは「進路に迷った時にどう選択するのか」を話していただきました。
今回のインタビューでは「大学院で行う研究とは何か、普段はどのような生活を過ごしているのか」について教えていただきました。

■視点を変えると新たな研究が見つかる■

現在大学院で研究されているメディアやネットワークというのは、具体的にどのような内容なのでしょうか。

例えば集団の大きさには、一個人やごく小さいグループの集まりなどのミクロなものと、会社や組織といったマクロなものがあります。そのようなミクロなものとマクロなものが、互いにどのような影響を与え合うかということを研究しています。その影響間に媒介となるものが必ずあると思いますが、私は特にソーシャルメディアに焦点をあてて、どのように影響を与え合うのかということを研究しています。

実際にはどのようなことを明らかにしようとしてますか。

小さいものと大きいものが影響を与え合うようなモデルがあると言われており、それを「ミクロマクロループ」と呼びます。ミクロのものとマクロのものが影響を与え合っているという文字通りのことなのですが、様々な学問分野でこのようなループがあるのではないかと言われています。特に経済学の分野などでは研究する主題の一つとして取り上げられています。
しかし、メディアや社会学、ネットワークといった情報的な側面におけるミクロマクロループの存在については、まだあまり研究が進んでいない状況なのです。そのようなモデルを明らかにして、一個人の生活や社会全体にプラスになるようなモデルを提示できればと考えています。

■趣味や仕事、生活すべてが研究に繋がる■

実際どのような方法で研究していますか。

先行研究を読むことや、過去のものを見ていく必要もありますが、今はフィールドワークを中心に行っています。
現在は研究活動を兼ねる仕事として、つくば市役所が所有するSNSの運営を担当しています。このページでは、つくば市を拠点に活動している市民活動に携わる人々の紹介をしており、編集者以外の方も自由に書き込めます。まさしくミクロなものとマクロなものが共存できる場としてのページです。自分で記事を書いたり、取材をしつつ、どのようにすれば人に来てもらえるようになるかという戦略も練っていますね。

どのような経緯で市役所のソーシャル・ネットワーク・サービス担当と知り合ったのですか。

私の指導教員がSNSの立ち上げに携わった経緯からです。先生ご自身もそれをモデルに研究をされていて、私はそのお手伝いという側面に加え、自分の研究活動の一環として関わっています。

教授全員にそのようなコネクションがあるのでしょうか。それとも今回のようなケースは偶然ですか。

それは教授次第だと思います。教授の研究する内容によって関わる組織は変わるので。例えば私の指導教授は市民活動などのミクロマクロ的なことにも関わりたいとおっしゃっており、教授自身もSNSを下地に研究をしていたので、たまたま市役所との繋がりがありました。他の教授にはそれぞれの繋がりがあるのではないでしょうか。

他に趣味などはありますか。

大学二年生頃から女性アイドルにはまりました。自身の趣味や好きなものをみると、私は影響を及ぼすことに興味があるのだと思います。自分がデザインしたものが他に影響を与えたり、波及効果を産むこと、または自分が予想した通りになるのを見ることがすごく好きでした。そのようなことを生かせないかな、と。そこでつくばアイドル文化を根付かせたいという目標を持ち、アイドル誘致イベントを何人かの仲間と共に行っています。
アイドルはショッピングモールなどでライブやイベントを行うのですが、東京ではお客さんが来るのにつくばは集まらないんです。そこでつくばにアイドル好きが集まったらすごく盛りあがるんじゃないか、なおかつ自分の研究にも使えるのではないかと思って始めました。
昨年初めて筑波大学の学園祭にアイドルを呼び、アイドルを好きになったという人がたくさん増えた、という手ごたえを感じたので、今年はより大きな活動にしたいと考えています。

■大学院生の生活とは?教授ってどんな生き物?■

学部生は院生の大学生活をなかなかイメージしづらいと思いますが、日々どのような時間の使い方をされていますか。

私の時間割では、月曜日から水曜日まで授業があります。木曜日と金曜日はフルタイムで市役所に勤務し、土曜日、日曜日は休みです。火曜日は研究室のゼミがあるため、そこで報告できるよう空き時間を使っています。発表を行う授業もあり、授業の内容をインプットしつつ準備をします。休日出勤が入ることもあるため、綿密にチェックして随時把握しています。

教授との関わりはどうですか?アドバイスなどをもらいますか。

私の教授はわかならいことは聞いてほしいというスタンスです。教授個人の性格によると思うのですが、自分の研究に専念したいからさっさと就職してよ、という教授もいれば、フォローを惜しまない教授もいるでしょう。

学部のときの指導教員が今の大学院の先生だったとしたら、大学院への進学はなかったかもしれないですか?

それはあり得ますね。

大学院生でしかできないことは何かありますか。

自分の人生計画を踏まえ、本当にやりたい研究に向き合えることだと思います。私は学部のときに大学院に行けばなんとかなるだろうというフワフワした考えでいて、真面目に人生のことを考えていませんでした。なのでもしかしたら適当に就職した、ということにもなっていたかもしれません。でも今回、指導教諭の変更という事件が起こり、初めて自分自身のことを掘り下げて考えられるようになりました。これは大学院への進学を決めたからこそ、気づいたのだと思います。気づく時期は人によって異なると思いますが、私は自分のやりたいことができ、活躍できる武器を研究を通して得て就職したいという考えを持っていたので、そもそも自分が何をしたいのかを真剣に考えた上で逆算した結果、大学院への進学を決めました。

■自分を見極め、将来の職種を選ぶ■

天野さんの目標はどんなものですか?

影響力を扱ったり、自分自身が確かな影響力を持って活動することですね。職種としてはマーケティングや広報など、影響を及ぼす種類の仕事をしたいなと思います。

今の活動ではどんなスキルが得られますか?

大学院では知識のインプットとアウトプット両方ができます。執筆活動やアイドルの誘致でも、知識や経験をもとに活動する一方で、こうしたら人が来るのか、という試行錯誤の蓄積ができます。アイドルへのインタビューや交渉、お客さんの反応を見込んで、どんなものが求められているのかを研究することは、総合的に自分の経験と知識になると思っています。それらをアウトプットしたいのですね。
大学院生は受け手にもなれますし、職員として働いたり、プロデューサーのようなこともできます。両方の視点と考えを持っていることで社会に対して大きな還元ができるような存在になりたいという心持ちでいます。

マーケティングや広報以外に考えている職種はありますか?

企業コンサル、シンクタンクなどでしょうか。

就職しようかと考えられたときの就職課の反応はどうでしたか?

就職しようよ!という雰囲気はありました。それに揺れることもありましたが、最終的には自分の意思で大学院への進学を決めました。

■悩んで出した結論だからこそ■

いま学部生に伝えたいメッセージをお願いします。

人生設計を頭に入れつつ、最終的に自分はどうなりたいのか。自分が一番輝くためにはどうしたいのか。それらを逆算して、実現するための力や時間やお金などいろいろな背景を掘り下げていって最適な進路選択してほしい、と伝えたいです。

天野さんの研究熱意はどんなところから来るのでしょうか。

私は自分が好きなことを研究しています。自分の研究によって結果を打ち出せて、後世への布石になる。そして好きなものに関する知識を得られたり、新しい知見を得られて体系が拡張されることが喜びですね。注意点としては、自分ひとりだけで掘り下げることでドン詰まりになることもあるので、そんなときは第三者にアドバイスをもらうことも大事かと思います。

天野さんは最終的にはどうなりたいですか?

最終的には社会に貢献して、自分の研究結果を世に証明したいです。それに向かっての進路決定や活動をしていきたいと考えています。自分自身がつぶれないようにワークライフバランスを考えて、いい大学院生生活を送りたいと思います。

大学院での研究は、ただ単に研究したいからだけではなく、将来やりたいことに近づくために必要不可欠なんですね。本日はどうもありがとうございました。


アカリクでは大学院進学を考える上での一助となるような活動を積極的に行っております。
記事についてのお問合わせは以下までお願いいたします。
※今後取材して欲しい人物や分野などのリクエストも受け付けています!

株式会社アカリク
「院進-k」事務局
Tel.:03-5464-2125
E-mail:info@acaric.jp

  • Twitter
  • Facebook
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • pocket